広島にある厳島神社の鳥居は、潮が満ちていると根本が海に浸かってしまっていますね。
だから鳥居の根元をよく見ると、かなり腐食してしまっています。あのままで鳥居は大丈夫なんでしょうか?
倒れてしまわないか、ちょっと心配ですよね。
今回は、そんな厳島神社の鳥居は、腐食しているけれど本当に大丈夫なのかを解説します。
厳島神社の歴史について…コンクリートのない昔にどうやってあの場所に鳥居を立てたのか?
そもそも厳島神社の鳥居は、なぜ海の中に建てられているんでしょうか?
その昔、厳島神社のある宮島は、その島自体が神であるとされていました。つまり、宮島そのものがご神体ということですね。
鳥居は本来、神域と人間界を分ける意味を持ちます。
だからこそ、島の入り口である海に鳥居を建造して、この島自体が神様ですよ、と表しているんですね。
ところでこの鳥居、どうやって立っていると思いますか?
鳥居の柱が海底に埋められている、と思われがちですが、実際は土台の上に自らの重みで立っているんですよ。
鳥居の柱の根元には、松で作られた杭が全部で30~100本も打ち込まれています。これが土台となるわけですね。
そしてその上に、重さ60トンもある鳥居が自重で支えて立っています。
鳥居の上部は実は箱型になっており、その中に7トンもの石を詰めてあるんですよ。
これもまた鳥居の大事な重りとなっていて、潮の満ち引きでも台風でも流されたり倒れたりしないようになっています。
つまり、合計67トンの重みで鳥居は自立しているんですよ。
厳島神社の鳥居は平安時代に建設されたのですが、そんなに昔から、知恵を絞り工夫を凝らして、海の中に鳥居を建てたんですね。
当時は上手く潮が引く時を見計らって、工事を進めていたんでしょうか?
ちなみに現在は、地盤に打ち込まれている杭の土台をコンクリートで補強しています。
紆余曲折の腐食対策…厳島神社の鳥居の今
厳島神社の鳥居は、根本が海水に浸かっていますが、腐食対策はどうしているんでしょうか?
実は厳島神社の鳥居は木材にクスノキを使っているんです。
クスノキは重みがあって虫に強く、また腐食しにくいという特徴があるんですよ。傷みにくい木材で作っているから、倒壊しないんですね。
でも、いくら頑丈なクスノキで作られているとはいえ、平安の昔に建設されたものなので、当然劣化してきます。
鳥居の根元部分も、長年に渡って海水に浸かっているため、もちろん腐食していってしまうんです。
だからこそ、鳥居はこれまでの歴史の中で、8回も作り替えられているんですよ。
つまり現在ある鳥居は8代目ということです。
現在の鳥居は明治の頃に再建されたものなので、割と新しかったんですね。
確かに、頑丈な木材で建設されていても、海水だけじゃなく、台風や高波などの自然災害も来るし、火災が発生することもありました。
木材も老朽化してくるので、やっぱり定期的に建て替えしないと、それこそ本当に倒壊なんて事態も起きてしまうかも知れません。
今わたしたちが安芸の宮島で、海に浮かぶ美しい鳥居の景色が見られるのも、大昔の人の知恵と、長い歴史の中で再建を繰り返し、鳥居を大切に保っていた人たちがいたからでこそなんですね。
まとめ
厳島神社の鳥居は、根本が海底に埋まっているのではなく、海底に合計で100本近い杭を打ち、その上に立っています。
鳥居は自分の重みと上部に詰められた石の重みで自立しており、それが支えにもなっているんですよ。
腐食しにくいクスノキを鳥居に使っていますが、それでも劣化してきます。そのため、建て替えを繰り返していて、現在ある鳥居でなんと8代目。
鳥居の建築方法だけでなく、建て替えられているというのも意外な事実でしたね。